株式投資の口座種類と申告方法を知り、税金対策に生かそう

2019年7月10日 2019年7月10日

株式投資の口座は税金面や確定申告の手間を考慮して4種類に分かれており、口座開設の際に選択します。

この口座の選択によって所得税・住民税の額や国民健康保険料（職場で加入する健康保険とは異なる）まで変わってくることがあるので、口座の特性を理解しておくことが重要です。

一般口座と特定口座とNISA

通常株式取引に対しては所得税15.315%・住民税5%課税されますが、非課税の特典を受けられる口座がNISAです。

NISA以外の口座で取引した場合は全て課税されますが、取引口座は一般口座と特定口座に分かれます。

年間の所得税を計算する確定申告のために、年間取引報告書を発行してくれるのが特定口座です。一般口座の場合は、確定申告で申告する所得を自分で計算します。

なお一般口座・特定口座に関しては銀行預金と同様に複数の金融機関で開設できますが、NISAに関しては1つの金融機関でしか開設できません。

特定口座を選択した場合、20.315%の税金を売却時に徴収されるようにすることもできます。口座開設時に、源泉徴収ありを選択してください。

例えば、20万円で買って30万円で売った株式に関しては、差し引き10万円の譲渡所得が生じます。30万円の売却代金が入金される段階で、所得税15,315円・住民税5,000円が差し引かれます。

税金の徴収が売却段階で終わっているので、源泉徴収あり特定口座で生じた譲渡所得に関しては、NISAと同様に確定申告を行う手間が無くなります。

ただし税金対策を行うという意味では、源泉徴収ありの特定口座で得た所得に対しても確定申告したほうが有利になる場合があります。

これは、損失が生じた場合です。複数の口座で取引している場合、特定口座受け入れにしていない配当金がある場合は確定申告により、他の口座で生じた譲渡所得や配当所得と相殺でき税額が軽減されます。

例えばA口座・B口座とも源泉徴収ありの口座であるとして、2019年中にA口座では10万円の譲渡損失、B口座では20万円の譲渡所得が生じている場合、確定申告を行うことでトータルの譲渡所得は10万円と計算されます。

B口座ではすでに所得税30,630円・住民税10,000円が徴収されていますが、確定申告により所得税15,315円・住民税5,000円分は軽減されます。

さらになお相殺しきれない損失があれば、翌年以降3年間は損失を繰り越せます。その3年間で所得が生じている場合、徴収された税金が還付の対象になります。

例えば2018年にA口座では10万円の譲渡所得、B口座では20万円の譲渡損失が生じた場合、確定申告を行うことで差し引き10万円の譲渡損失を翌年以降に繰り越すことができます。

そして2019年にA口座では10万円、B口座では0円の譲渡所得が生じている場合、確定申告によりA口座から徴収された所得税15,315円・住民税5,000円分は軽減されます。

源泉徴収あり特定口座で生じた譲渡所得を申告しないことによるメリットは、実は自治体の保険料を上昇させないことにもあります。

保険料の算定対象になる所得は、あくまでも申告の対象とした譲渡所得です。厳密に言うと、住民税算定対象の所得です。

損失が生じていた場合に申告してしまうと、上記計算事例のように損失を相殺しきってしまった場合は保険料が上昇してしまう恐れもあります。

保険料率は自治体により異なりますが10%前後の自治体が多く、仮に10%と仮定した場合は、譲渡所得10万円に対しては1万円かかってきます。

これを防ぐには、確定申告の他に、お住いの市区町村に対して住民税の申告書もしくは申出書を提出します。申出書の場合は、確定申告の対象とした譲渡所得に対して、申告不要の申し出を行います。

住民税の申告書を提出する場合でも、譲渡所得に関して申告不要を申し出ることで足りる自治体もあります。このようにすることで、上記事例では住民税5,000円の軽減は無くなりますが、1万円の保険料上昇を防げます。

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